「第21回世界コンピュータ将棋選手権」開催
第16回アジア大会の囲碁にて、切れ負け続出
今更ながら、第16回アジア大会の囲碁にて、切れ負けが続出したことを取り上げておく。
2010/11/12〜27に中国・広州で開かれた第16回アジア大会にて、「囲碁」が競技の1つとなった。
「チェス」の中の「チェス/ウェイキ」というのが囲碁にあたる。余談になるが、囲碁は英語で「Go」だけでなく「ウェイキ(Weiqi)」とも呼ばれるそうだ。
この大会で用いられた対局時計は反応が悪いらしく、「ボタンの真ん中をまっすぐ下に押さないと、反応してくれないことがある」(後述の「メイエン事件簿」より引用)とのこと。
調査してみたところ、使われていたのは「全棋」というメーカーの対局時計のようだ。
これがチャイナクオリティーなのだろうか。にわかには信じがたい。ちなみに下記が現在日本で一般的に使われている「ザ・名人戦」だ。
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- 参考:対局時計(チェスクロック)について、一言物申す(本ブログ2008/11/24のエントリー)
最後まで戦い抜いてほしいコンピュータ将棋
さて、明日から3日間、「第21回世界コンピュータ将棋選手権」が早稲田大学・国際会議場にて開催される。
以前コンピュータ将棋選手権でも、決勝リーグ終盤の事実上の決勝戦(「激指」VS「棚瀬将棋」)にて、時間切れ負けというアクシデントが起きた。
また、アマ強豪VSコンピュータ将棋の対局にて、コンピュータがダウンするというアクシデントが起きたこともある。
- 「将棋と科学」公開対局:人類、屈辱の勝利(本ブログ2009/11/19のエントリー)
人間戦でもコンピュータ戦でも、アクシデントで終局するのは悲しいし、後味が悪い。盤外では何の問題も起こらないことを期待したい。
ただし、相手の切れ負けを戦術に組み込んでいる稲庭将棋は除く。
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チェスの碁盤を模したケーキ
第16回コンピュータ将棋オープン戦にて、「大将軍」が優勝
「大将軍」初出場、初優勝
2011/04/09に行われた、第16回コンピュータ将棋オープン戦にて、初出場の「大将軍」が優勝した。
実績のある「GPS将棋」や、力をつけてきた「Ponanza」を破っての優勝。お見事。なお、「大将軍」開発者様のWebサイトは見つけられなかった。
第21回世界コンピュータ将棋選手権は5月3日〜5日
このオープン戦は、来月行われる第21回世界コンピュータ将棋選手権の前哨戦ともいえる。
オープン戦では参加チームが少なく、評価は難しいが、「大将軍」は上位に進出する力を見せつけたといえそうだ。
- 第21回世界コンピュータ将棋選手権
- 第20回世界コンピュータ将棋選手権(昨年の結果。「激指」優勝)
- コンピュータ将棋2011: 詰将棋メモ
なお、昨夜「第21回世界コンピュータ将棋選手権」のWebサイトを訪れたときはダウンしていたが、現在は復旧している。
関連エントリー
- 第20回世界コンピュータ将棋選手権開催(2010/04/30のエントリー)
「久保の石田流」書評
久保利明二冠、初の石田流専門書
つい先週、
と2本のエントリーを書いた。
久保棋王・王将がダブル防衛を果たしたあと、昨年と一昨年の石田流はどんな形だったかなとふと思い、振り返ってまとめてみたわけだが、そのまとめ作業の最中、久保二冠が石田流のみを解説した棋書を発売することを知った。それが「久保の石田流」だ。先月末から発売開始している。
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意外にも久保二冠にとってはじめての石田流専門書となる本書(ちなみに鈴木大介八段は現時点で3冊もの石田流専門書を著している)。早速買って読んでみたので、簡単に感想を述べたい。
「最強久保流振り飛車 さばきのエッセンス」三間飛車編
本書は、「将棋世界」誌にて連載中の久保二冠の講座「最強久保流振り飛車 さばきのエッセンス」の、先手石田流および後手石田流の部分を加筆、修正し再構成したものだ。この講座については、過去に以下のエントリーで紹介した。そちらで書いた感想も、本書の内容の参考になるはずだ。
なおこの講座は現在も連載中で、先手石田流→後手石田流ときて現在はゴキゲン中飛車を解説している。
本書の目次を紹介しておこう。
「鈴木流急戦」とは、いわゆる「新・石田流 7手目▲7四歩」のこと(詳しくは『「新・石田流(7手目▲7四歩)」まとめ (特許明細書風)』などを参照)。そして「久保流急戦」とは、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲4八玉△6二銀のところで▲7四歩(第1図)と突く急戦のことだ。第34期棋王戦・佐藤康光棋王(当時)戦の第2局でも現れた。
第1章 石田流の入り口
第2章 升田式石田流の基礎知識
第3章 早石田定跡
第4章 鈴木流急戦
第5章 久保流急戦
第6章 その他の石田流
後手の棒金戦法
後手の左美濃
後手の居飛車穴熊
4手目△5四歩
第7章 後手の石田流
後手の石田流
2手目△3二飛戦法
第8章 最新の石田流
第9章 実戦編
参考棋譜
石田流の基礎知識から後手番石田流の2手目△3二飛まで、非常に幅広く解説されていることがわかる。そのぶん1章ごとのページ数は短めといえるかもしれない。
ただしその中身は非常に濃く、実戦で現れた手順が何度も登場する。ココセではなく、現時点での最善手の応酬手順が解説されているのだ。そのため、安易に石田流優勢としているわけではなく、形勢不明かやや不利かもしれない、と結論付けられている章すらある。
ここまで研究手順をさらけ出してしまってよいのか、と読んでいて心配になる箇所もあった。が、久保二冠にとっては、あくまでも現時点での研究結果を披露したのみという感覚であり、将来的に結論を覆したり、新手や新定跡を生み出せるという自信があるのではないだろうか。
加筆された「最新の石田流」と「実戦編」
本書は基本的には将棋世界の講座と同じだが、大きく異なるところが2点ある。それが第8章「最新の石田流」と第9章「実戦編」。
「最新の石田流」では、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩の局面で、
(1)▲7四歩△同歩▲4八玉
(2)▲7四歩△同歩▲5八玉
(3)▲7六飛
の3つの手順が紹介されている。(3)▲7六飛は第36期棋王戦・渡辺明竜王戦の第1局で現れた形であり、記憶に新しい。
解説についてはぜひ本書を参照されたい。なお、第35期棋王戦・佐藤康光九段戦の第3局で現れた▲4八玉△6二銀▲7六飛という手順の解説は見当たらなかった。
実戦編では7局の棋譜と解説が載っている。タイトル戦だけでなく、A級順位戦などの棋譜も載っており、相手はすべてトッププロだ。こんなぜいたくな実戦譜ばかりを集められる棋士はごくわずかだろう。
「対局会場アーカイブス」の会場情報を更新しました
前バージョンの約1.4倍、152会場の情報を収録
Android端末向けアプリ「対局会場アーカイブス」をバージョンアップしました。
2003年度から2010年度まで、過去8年間・計152会場の情報を収録しました。つい先日まで行われていた、第36期棋王戦、第60期王将戦の対局会場情報も含みます。前バージョンと比較して、情報量が約1.4倍に増えました。
なお、そもそもこれが何のアプリかご存じない方は、下記記事などを参照ください。
「チェスクロイド」も好評公開中
同じくAndroid端末向け対局時計アプリ「チェスクロイド」も公開中です。
おかげさまで2500ダウンロードを突破しました。5段階評価で4.4の評価を受けており(評価人数:16人)、概ね好評のようです。
ルール変更、持ち時間変更はもちろん、文字色や壁紙などの変更も可能です(下図は一例)。お手持ちのお好きな画像を壁紙にお使いください。