将棋の神様〜0と1の世界〜

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」&「チェスクロイド」作者がおくる、将棋コラム

//移転しました。

タイトル戦の対局会場情報をまとめたAndroidアプリ「対局会場アーカイブス」

「対局会場アーカイブス」


タイトル戦の対局会場情報をまとめたAndroidアプリ「対局会場アーカイブス」を作成しました。
将棋連盟様を含め、誰も注目していないようでしたので、まとめてみました。これまで、対局会場を体系的にまとめたWebサービスやアプリ、または将棋本もなかったと思うので、史上初(?)ではないかと思います(何かあったら教えてください)。アプリにしなくてもWebサービスでいいじゃないか、という意見もあると思いますが、まずはアプリにしてみました(今後の展開は未定)。

現時点で、2008年〜2010年の3年間、計66会場の情報をまとめています。今後2015年の情報までサポート予定です(2015年以降は、またその時点で考えます)。また、さかのぼって2001年の情報まで順次追加予定です。

探し方

都道府県からさがす、または文字列で検索することができます。






会場データ

会場の住所(または住所を特定できる地名)、地図、ホームページ、およびその会場で行われた対局(現状2008年〜2010年の3年間)を参照することができます。下図は、「椿山荘」の例です。また、会場ごとにメモを入力して保存することができます。










趣旨

将棋雑誌でも、対局が行われたそのときのみ対局会場が紹介されるものの、もちろんメインは将棋の内容。会場がクローズアップされることはありませんでした。「陣屋」など有名なエピソード(下記リンク参照)を持つ会場はあるものの、基本的には忘れ去られていました。

最近では下記のような寂しい話題もありました。


王将戦は10月に行われた初の事業仕分けで対象となり、その結果「不要1人」「民間実施1人」で、全体としては3人が支持した「市が実施。ただし改善を要する」となった。
 将棋によるまちづくりの核となる王将戦だけに、事業仕分け実施委員の意見を来年度から生かしていく。津久井富雄市長は「将棋は戦略性に富んだ知的ゲームで奥が深い。(事業として)守っていきたい」と述べた。井上氏が質問した。

はたして、将棋のタイトル戦を誘致することは効果があるものなのか、将棋は街の観光地としての価値を高められるものなのか。現地の方々は、そんな複雑な思いをされているのではないでしょうか。



そこで我々将棋ファンは積極的にそれら会場(旅館、ホテル)を利用し、その街を訪れることで、対局会場を提供してくださったオーナー様たちに恩返しできないものだろうか・・・。その手助けができれば、というのが本アプリの趣旨です。
ちなみに私が老後に実現したい夢の1つが、「タイトル戦が行われた旅館に泊まって、そこで行われた棋譜をじっくりと並べる」ことです。会場データの「行われた対局一覧」を見れば、そこで何が行われたかがすぐににわかります。

データについて

データベース(AndroidではSQLite)の形式を用いています。以下のようなDB構成および一例となっています。

会場DB
// 会場名、県名、住所(または住所を特定できる地名)、ホームページ名、URL
{ "ANAクラウンプラザホテル金沢", "石川県", "石川県金沢市昭和町16-3", "ANAクラウンプラザホテル金沢", "http://www.anacrowneplaza-kanazawa.jp/" },
{ "あえりあ遠野", "岩手県", "岩手県遠野市新町1-10", "語り部の聴ける宿|あえりあ遠野", "http://www.aeria-tohno.com/" },
{ "秋田キャッスルホテル", "秋田県", "秋田市中通1-3-5", "秋田キャッスルホテル", "http://www.castle-hotel.co.jp/" },
・・・
対局DB
// 棋戦名、期、局、会場名
{ "竜王戦", "21", "1", "ル・メリディアン・エトワール" },
{ "竜王戦", "21", "2", "洞爺湖万世閣ホテルレイクサイドテラス" },
{ "竜王戦", "21", "3", "ホテル武蔵坊" },
・・・
対局者名DB

棋戦と期が決まれば、局によらず対局者が一意に決まりますので、対局者名は対局DBと分けました。

// 棋戦名、期、タイトル保持者の性、名、挑戦者の性、名
{ "竜王戦", "22", "渡辺", "明", "森内", "俊之" },
{ "竜王戦", "21", "渡辺", "明", "羽生", "善治" },
{ "名人戦", "68", "羽生", "善治", "三浦", "弘行" },
・・・

DBを正規化することにより、破綻なく容易にデータの追加と削除が行えますので、今後のデータ更新もスムーズに進められる見込みです。
データは、すべて私の手入力です。当然ですが、はじめの1年分(2010年分)は非常に時間がかかりました。ただし、同一タイトル戦では毎年同じ会場を使うことが多い傾向があり、会場DBの追加は今後落ち着いていく見込みです。事実、2010年、2009年のデータベースを作ったあと、2008年のデータベースを作るのはかなり容易でした。



どなたか協力してくれないかなぁとか、英語化できないかなぁとか、こっそり模索しています。また、囲碁のデータがあればそれも同一アプリ内に組み込めます(ごっちゃにならないようにリストは分けてメニューでどちらかを選ぶ形式を考えています)。

「将棋世界」がiPad向け電子書籍に

将棋世界」、電子書籍

将棋ファンにおなじみの月刊誌「将棋世界」が、iPad向け電子書籍になるとのこと。
2010/10/17のエントリー「『将棋を世界に広める会』創立15周年記念シンポジウムに行ってきた(2)」に書いたように、このイベントにて青野照市九段が「将棋世界電子書籍化を進めている。」と語っていて、これは非常にうれしいことだと感じていたのだが、まさかこんなに早い時期に正式発表があるとは思ってもみなかった。

将棋世界 2011年 01月号 [雑誌]
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毎日コミュニケーションズ 2010-12-03
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発行元の日本将棋連盟は8日、東京・将棋会館で会見を開き、iPadアプリ版『将棋世界』を9日よりApp Storeで販売すると発表した。誌面で将棋図面が動くなど、電子書籍ならではの仕掛けが盛り込まれている。


これは画期的だ。記事にあるように、棋譜再生が手軽にできたり、ズームできたりする機能は、将棋ファンになるための敷居を下げたり、年配の方が将棋雑誌を読みやすくなったりする効果を生み出すだろう。またなにより、サイズは小さいものの厚みがある(読み応え十分)将棋世界が、本棚を占有(下図参照。本当に参る)することがなくなる。これは非常にうれしい。

ついでに、新たに再編集して電子書籍化する必要はあるが、過去の将棋世界も配信してはどうだろうか。ただし価格設定は難しい。少々内容が古くても、新しい将棋ファンにとっては過去の歴史を知りたい需要はあるかもしれないし、作る側としては再編集の手間もかかっているので、新刊と同程度の価格でもいいかもしれない。

iOS4.3の定期購読システム(見込み)で、雑誌購読はもっと便利になる

料金システムは、記事によると以下のようになっている。

iPad将棋世界はアプリ内課金方式を採用。価格はリーダー本体が230円、アプリ上で購入する誌面データが1号600円(紙媒体は750円)。
12月9日からリリース開始予定のiPadアプリ版将棋世界には「将棋世界12月号」のデータが含まれる(アプリ込みで230円)。
2011年1月以降は、毎月3日の紙媒体発売後、アップルの承認が下り次第配信していく。

このシステム、すなわち毎号毎号ユーザーが明示的に購入するシステムは、今のiOS(バージョン4.2)ではしかたがない(定期購読システムにはできない)。
このシステムは、ユーザーにとっては毎号購入手続きをするのが面倒臭いと感じるだろうし、出版社にとっては最初に購入したユーザーを繋ぎとめる力が弱く、どちらにとってもうれしくない。この料金体系は、現在の「日本将棋連盟モバイル」についてもあてはまる。

事実、私自身は、iPhone向け日本将棋連盟モバイルを最初の月に入金し観ていたが、結局あまり落ち着いて長時間観ることができず、不要だと判断し2ヶ月目の現在、入金をしていない(ごめんなさい)。もし自動的にアカウントから引き落とされるシステムだとしたら、ものぐさな私の場合、「まあたまに観ればよいか」と解約せずにいる可能性が高い。


しかし、iOS4.3からは定期購読システムが追加になる見込みだ。


肝心の新機能は、サブスクリプション関連の機能が追加されるとのことである。
これは、アプリの新しい課金方式であり、定期購読が可能になるという。例えば、購読料を月額課金にできるのであろう。

このシステムが始まった場合、「将棋世界」も「日本将棋連盟モバイル」も、すぐさま定期購読システムを導入すべきだろう。
というか、これは将棋界に限った話ではない。定期購読システムが始まれば、多くの週刊・月刊雑誌が、iPad向け雑誌販売に殺到することになるかもしれない。

IS03、LYNX 3D、Desire HDでフラ盤を再生できた

最新Android端末でフラ盤を再生できるか?・・・結論

まず結論から書いておくと、以下の通り。なお「再生」とは、一手進める/戻す、最終/開始局面へ、などの操作のことを指す。(12/03誤記訂正)

  • Softbank Desire HD(Android OS 2.2)・・・再生可能。想定通り。(docomo Galaxy Sは未調査)
  • au IS03docomo LYNX 3D(いずれもAndroid OS 2.1)・・・再生可能!再生できるとは想定していなかった。
  • Desire HDは動作速い。IS03LYNX 3Dはスローな印象。
  • 操作ボタン類のタッチにくせがある。Desire HDでは、描画されているボタンのやや下の方をタップすると反応する、など。
  • IS03LYNX 3Dでは、ピンチアウトではアンチエイリアス処理がうまく働かないようで、駒のふちの線がややガタガタになる。
  • フリーモードで駒を移動することができない。ドラッグすると盤面含むWebページ全体が動いてしまうので。
  • docomo Xperia(OSバージョン不明)・・・Flash非対応なので表示できない。
12/03追記

再度店頭でDesire HDとIS03を見てきた。そして大きな勘違いに気付いた。Desire HDのほうはとても綺麗(線は特別ガタガタしていない)で再生スピードはPC同等だった。前回はうっかりロードしきる前に動作チェックしてしまっていたのかもしれない。
(追記ここまで)


以下蛇足。

諦めていた「ケータイ」向け

プロフィールに記載の通り、私は「フラ盤」という棋譜再生プレーヤーを開発し、2004年から配布している。

スキルと手間の都合から、フラ盤はPCインターネット向けのみとし、ケータイインターネット向け対応は行ってこなかった。フラ盤はスクリーン上にボタンを持つため、タッチスクリーンを搭載しないケータイでは、仮にモバイルFlash搭載機種で表示できたとしても操作ができない。


時代は流れ(といっても6年程度だが)、近年iPhoneAndroidをはじめとするタッチパネルを標準搭載したスマートフォンが台頭してきたのはご存知の通り。
Flashをはなから搭載する気のないiPhoneはさておき、Android OS 2.1以降Flashを搭載するようになったAndroid端末ならば、フラ盤を再生できるのではないか*1?これを確かめるため、・・・いや、携帯電話購入検討のついでとして*2、家電量販店の携帯電話コーナーに行ってきた。

期待通りのDesire HD

まずSoftbankのDesire HDから。Desire HDはAndroid OS 2.2、およびFlash10.1を搭載している。Flash10.1はPC向けFlashとモバイル向けFlashの系譜を合流させたようなバージョンであり、PC向けに作られたフラ盤を再生できるのではないか、という期待を持っていた。

特に画像等もなくいきなり結論だが、無事再生できた。
docomoGalaxy Sも調査したかったが、ネットワークに繋がった端末が無く、できなかった。

想定を上回ったIS03LYNX 3D

Desire HDで再生できたことで満足していたのだが、一応ダメもとでLYNX 3Dで試してみた。LYNX 3DとIS03は、Android OS 2.1、およびFlash Lite 4.0を搭載している。Flash Lite 4.0は携帯電話向けFlashプレーヤーであり、詳しくは知らないがActionScriptの解釈などが不十分で、再生できるFlashコンテンツが限られているというのが私の認識だった。

しかし実際に試してみたところ、再生できた。これは想定外で、うれしかった。調子に乗ってIS03でも確かめてみたところ、これまた成功。

描画が汚い(12/03誤記訂正)

はじめに書いたように、

  • IS03LYNX 3Dは再生がスローな印象。
  • 操作ボタン類のタッチにくせがある。Desire HDでは、描画されているボタンのやや下の方をタップすると反応する、など。
  • IS03LYNX 3Dでは、ピンチアウトではアンチエイリアス処理がうまく働かないようで、駒のふちの線がややガタガタになる。
  • フリーモードで駒を移動することができない。ドラッグすると盤面含むWebページ全体が動いてしまうので。

などが弱点だ。スローなのは慣れるだろうし、おまけ機能であるフリーモードが使えないのも許容できると思うのだが、アンチエイリアス処理がうまく働かないのは個人的に不満だ。描画が汚く、美しくない。フラ盤の作りが悪いからだろうが、非常に残念。なお、動作がスローなのはフラ盤がActionScript1.0で作られていることと、私のコーディングが冗長でひどいからだろう。

XperiaはNG

これはダメもとというか表示できないことの確認だったのだが、Xperia(OSバージョン不明)で確認したところ、想定通りフラ盤を表示できなかった。2.1にバージョンアップされたものだったかどうか確認しなかったが、いずれにせよ2.1にバージョンアップしてもXperiaFlash非対応だそうなので、仕方ない。


こういった個人的な事情もあり、Flashを搭載したAndroid OS 2.1以降の端末はとても魅力的だ。

*1:私はOS 1.6のAndroid端末しか所有していないので知らなかった。

*2:茶化してみたが、事実、IS01の購入を検討していた。新規契約時の端末代がまさかの20,000円とのことで、あえなく断念。

「今年の一文字」でTwitterクラスタ純度を調べてみよう

「今年の一文字」 by 郵便年賀.jp

現在日本郵便のホームページにて、下記サービスが提供されている。

「今年の一文字」とは?
あなたが2010年に、Twitterでいちばん多くつぶやいた漢字一文字と、その漢字一文字から、2011年の運気を占うコンテンツです。
あなたの「今年の一文字」は年賀状のテンプレートや素材として、ダウンロードできます。

私は基本的にこの手のサービスをやらないのだが、まさかの日本郵政グループ公式サービスということで、挑戦してみた。
お堅いイメージのある組織だが、思い切ったデザインのユルさと完成度の高さで感心した。

高い将棋クラスタ純度

さて私(@thirdfilerook)の結果は、1位から順に、棋、将、戦、手、見、王、飛、局、生、段となった。

久保二冠を応援するつぶやきが多く、「棋王戦」「王将戦」とつぶやく棋界、もとい機会が多かったのがよくわかる。
私は基本的に将棋に関するつぶやきしかしないので、トップ10すべてが将棋に関連する漢字となった。唯一「生」がわかりにくいが、おそらく「羽生」と「先生」の合わせ技で「生」が上位に来たものと考えられる。


トップ10の漢字について、以下のような画像を取得することができる(下図は私の1位「棋」の場合)。
また、Twitterをやっていない方のために、生年月日を入力することで楽しめる「来年の一文字占い」というサービスも用意されている。
興味のある方は是非本サービスをお試しあれ。

「相振りレボリューション」発売

名著「相振り革命」シリーズの続編

「アイツが振るならオレも振る!」でおなじみの、本ブログでも何度も紹介している杉本昌隆七段著の「相振り革命」シリーズに、続編が出るとのこと。
第1作から順に「相振り革命」、「新相振り革命」、「相振り革命3」、「相振り革命 最先端」ときて、気になる本作のタイトルは、「相振りレボリューション」。頭の「相振り革命」を放棄して、まさかの英語表記だ(さすがにアルファベットではないけれど)。これも時代の流れだろうか。

マイコミ将棋BOOKS 相振りレボリューション
マイコミ将棋BOOKS 相振りレボリューション杉本 昌隆

毎日コミュニケーションズ 2010-11-13

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目次は以下の通り。

  • 序章 現代相振りの考え方
  • 第1章 先手三間VS後手△5三銀型三間(先手ジックリ型)
  • 第2章 先手三間VS後手△5三銀型三間(先手軽快型)
  • 第3章 相三間後手の秘策
  • 第4章 先手向かい飛車VS後手三間
  • 第5章 その他の相振り、速攻三間、左穴熊対策


■内容紹介
1995年に相振り飛車の戦いに革命を起こしたのが「相振り革命」シリーズです。第一作の発売以降、相振り飛車は劇的な進化が始まり、それは現在も続いています。本書はこの相振り革命シリーズの最新作です。最近の振り飛車三間飛車が増えており、相三間を中心に、三間飛車対向かい飛車、後手の秘策△5五角作戦など、実戦で試したくなるような面白い変化が盛りだくさんになっています。

If you range your rook, I will, too!

上の内容紹介でも触れられているように、近年は石田流三間飛車志向の3手目▲7五歩が流行しており、後手が居飛車を放棄して相振り飛車戦になるケースも目立つ。ちょうど現在進行中の「大山名人杯倉敷藤花戦」里見香奈倉敷藤花VS岩根忍女流二段)でも、3局すべてが相三間飛車となった。
そんな背景を考慮し、本書は先手三間飛車、特に相三間飛車を中心に解説されているようだ。


私は第一作からこのシリーズを購入している。本書も必読、いや「マストバイ」に違いない。