将棋の神様〜0と1の世界〜

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」&「チェスクロイド」作者がおくる、将棋コラム

将棋鑑賞の手引き2009・秋(2)「突き抜ける!現代将棋」

勝又教授の講義、待望の続編

『将棋鑑賞の手引き2009・秋(1)「先崎 学のすぐわかる現代将棋」』に続く、将棋鑑賞の手引きの2つ目。
多くの方々は察しがついたであろう、紹介するのは「将棋世界」誌10月号から連載が開始された、「突き抜ける!現代将棋」(講師:勝又清和六段)だ。

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私が勝又六段の講座のファンであることは、2008/07/30のエントリー『あいかわらず「勝又教授のこれならわかる!最新戦法講義」が面白い』などでも述べた通り。「最新戦法講義」が2009年1月号で完結して以来、わずか9ヵ月後の再登場となった。それほどファンが、時代が求めていた、ということだろうか。

全力投球の第1回

さて、10月号に掲載の第1回だが、これが20ページにおよび、凄まじい充実ぶり。

最近の将棋は序盤から「差し手争い」が激しくなっていますね。まずはこれをほぐしておきましょうか。序盤の数手の意味を考えながら最新の状況を整理してみます。

との書き出しで始まるのだが、手広くまとめているのはもちろん、それぞれの解説が結構深い。とりわけゴキゲン中飛車については、第2回以降単独で紹介する内容があるのかというほど深い気がする。
そして後半半分は、「今回の特集テーマ」としていわゆる角交換型振り飛車について、昔の棋譜を掘り起こしながら丹念に解説されている。
さらに最後のページでは、「勝又教授の勝手に戦法ランキング」と題して、居飛車系・振り飛車系合わせて11個の戦型についての流行度合いや注目度が紹介されている。
そのうち「石田流」について少しだけ抜粋すると、

ものすごい流行ぶり。(中略)
いま一番目が離せない戦型かも。

とのことで、三間飛車党にとってうれしい限りだろう。ただし、「普通の振り飛車」(いわゆる角道を止めないノーマル振り飛車)は、皆さんもご存知の通り凋落の情勢。これはまことに残念。

力入りすぎ?

まさしく充実の内容なのだが、ちょっと力が入りすぎている感もあるかも。
前半の、最新の状況を整理するパートで、前述の通りゴキゲン中飛車について勢い余って(?)相当量の解説を載せたことなどは、本来の趣旨とは異なってしまったのではないだろうか。
もっとさらっとシンプルにまとめてもよかった気がする。そうすれば、本題の角交換型振り飛車のパートが際立っただろう。第1回の主役がぼやけてしまった印象だ。

他ブログでの感想

本講座の感想を書いているブログを探してみたが、まだほとんど見つからなかった。見つかったうちの2つだけ紹介させていただきます。


将棋を鑑賞するのには、とても面白く、参考になる内容です。講座のタイトルも「突き抜ける!現代将棋」とは、異色です。
しかし、教授は張り切りすぎているのか、第1回は内容てんこ盛りで電車の中で読むにはちょっと重いかもしれません。もう少し、ゆっくり解説してもらってもいいかな。


勝又教授の分析は、単なる最新形の整理紹介にとどまらず、そこにどういう歴史的意義があるか、将棋の考え方の本質や構造においてどういう思想的意義があるかについてまで考察しようとしているところが面白いのである。勝又講義は難しいという人もいるが、むしろその逆であって、細かい将棋の知識がはなくても、将棋の最先端で他の世界にも通じるどのようなことが行われているかを知るキッカケになりうると思う。そういう意味では、将棋ファン以外にも読んでもらいたいものである。

シンプルで明快な「月・下・推・敲」

余談だが、「突き抜ける!現代将棋」の数ページ後に、谷川浩司九段の連載「月・下・推・敲」が載っていて、今回のテーマはプロ間での注目の局面の紹介となっている。
たった4ページなのだが、一手損角換わり、矢倉後手急戦(阿久津流)、石田流久保新手▲7五飛(詳しくは『「久保利明棋王」誕生』などを参照下さい)、ゴキゲン中飛車の新対策、の4つが簡潔にまとめられており、とても読みやすかった。もちろん、勝又先生の講座の方が分量が多いので、そう感じるのもやむなしだが。10月号を購入なさった方は、こちらも続けて読んでみるとよいだろう。

勝又六段と梅田望夫氏が対談

「将棋鑑賞の手引き2009・秋(1)」のイントロダクションとして梅田望夫氏の書籍を紹介した後、先崎学八段の講座およびこの勝又六段の講座を紹介したわけだが、驚いたことに近々、というか明日、勝又六段と梅田氏の対談が行われるとのこと。


9月17日は、夕方から某誌の企画で、将棋連盟にて勝又清和六段と対談をします(詳細は追ってお知らせします)。

何というタイミングの良さ。テーマの1つはもちろん「現代将棋」となるのだろう。
この対談の内容は、今後勝又六段の講座の中で取り上げられるのだろうか。はたまたその枠にとどまらない対談ページが設けられるのだろうか。注目したい。