将棋の神様〜0と1の世界〜

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」&「チェスクロイド」作者がおくる、将棋コラム

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『将棋を世界に広める会』創立15周年記念シンポジウムに行ってきた(1)

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「将棋:世界普及への新たな展開」

10/09、東京工業大学・蔵前会館くらまえホールで行われた題記のシンポジウムに行ってきた。

将棋を世界に広める会・理事長挨拶のあと、第1部に「海外普及の期待と展望」と題した羽生善治名人の講演、第2部にパネリスト5名(次回エントリーにて後述)によるパネルディスカッションが行われた。普通は、羽生名人の講演目当てに会場に足を運ぶのが自然だと思うが、私の場合はむしろ第2部のほうに注目していた。
がちがちにトーク内容をコピー、またはICレコーダなどで記録してきたわけではなく、感心した部分に留めてメモしてきたので、以下箇条書き形式で簡単に紹介させていただく。私の意訳や超訳が含まれている部分もある(正確な文言は「ISPSシンポジウム記念講演 - ”玲瓏”管理人のつぶやき」様を参照されたい)。
やや長くなってしまったので、本エントリーではまず第1部の羽生名人の講演を紹介する。

第1部 羽生善治名人の講演より

  • チェスの書籍を読むことがある*1が、日本語の書籍はほとんどないので英語の原書を読むことになる。それでも、慣用句やきまった用語が用いられているので、慣れたらスラスラ読めるようになった。将棋でも海外に対してそうなるとよい。
  • 社会主義共産主義国家にはチェス強豪、というかボードゲーム全般において強豪がそろっている。国家的にボードゲームのプレーヤーへのサポートが手厚い。
  • ネットがいくら発展しても、実物の盤駒は重要。外国の方にとって実物の盤駒で指せることは大きなモチベーションになる。なおモチベーションという点で、感想戦もとても重要。
  • チェスではICC(インターネットチェスクラブ)というオンラインチェス対戦サイトがあり、質問したら答えてくれるボランティアがいる。将棋でも、世界に対してこのようなサイトがあるとよい。
  • 浅川書房さんと、いわゆる「フリー」モデルで海外向けに書籍を販売した。

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2010/10/15追記

こんなエントリーを見つけた。羽生名人はこの棋書について語っていたかもしれない。

(追記ここまで)

  • 棋は対話なり。本気で相撲をとるのは難しいが、将棋はいつでも本気で指せる。一局指せば相手の人となりがわかる。
  • (中国・上海で将棋が盛んな件について質問を受け)中国はボードゲーム全般に力を入れている。チェスも強く、団体戦なら世界一かもしれない。国が手厚いサポートをしている。将棋を指す人も、奨励会に入る人(参考:「14歳の中国人が奨励会合格 外国在住者では初 - 47NEWS(よんななニュース)」)も、今後もっと増えるかもしれない。人口が多いしポテンシャルもある。
  • (コンピュータ将棋との付き合い方について質問を受け)コンピュータが、将棋入門者に効率良く指導できるソフトになるとよい。そうなるまでには時間がかかりそう。
  • (コンピュータ将棋が今後将棋を初手から解明してしまったらどうするか、との質問を受け)「NP問題」があるので大丈夫です(キッパリ)。時間的な制約があるので解決できない。解明はされないので心配要りません(にっこり)。(参考:「NP - Wikipedia」

第1部感想、そして羽生名人は第23期竜王戦出陣へ

羽生名人、多岐に渡りなんでこんなに博学なのだろうか・・・信じられない。「NP問題」とかさらりと答えているところが恐ろしい。実はすでにコンピュータ将棋との対局に向けて準備万端なのだろうか。

そんな羽生名人、明日から第23期竜王戦の初戦に挑む。ほんの数日前に行われるこの講演を事前に快諾し、講演に臨んでいるわけだ*2。これまた信じられない。

ぜひタイトルをとり、史上初の永世七冠に輝いてほしい*3

2010/10/17追記

続き(2)を書きました。

*1:羽生名人はチェスでも日本トップクラス(一時期トップ)の実力を誇る。詳しくは「羽生善治 - Wikipedia 8.1 チェス」等を参照。

*2:羽生名人は2008年にも、中国・北京(!)で講演をした数日後に名人戦に挑む、という鉄人っぷりを披露した。参考:「AISEP2008」の一環で羽生善治二冠が北京で講演_人民中国

*3:はっきり言ってしまうと、このタイトル戦、私は羽生名人を応援している。