3手目角交換の是非
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「志」が問われる3手目角交換
ところで、上記『定着している?「アナグマ王子」』で述べた第59回NHK杯・増田五段VS広瀬五段戦では、先手・増田五段がまさかの3手目角交換(初手から▲7六歩△3四歩▲2二角成!)を見せた。これは、最近流行の「一手損角換わり」の類ではなく、広瀬五段のノーマル四間飛車穴熊を封じるための、純粋一手損の構想である。
正直、目先の1つの勝利のために、志の低い構想を見せたことに憤りを感じた。ましてやテレビ棋戦である。将棋初心者や、何となくチャンネルを回して見ていた方には何と説明すればよいのか。一手損角換わりならば、説明に窮するどころか「境地に達した」将棋の奥深さを語ることができる。だがこれは・・・
プロの将棋では、中終盤にて相手の思い通りにはさせないよう(かつ自分自身もそう思い通りにはいかないことを自覚し)、「手を殺す」手の応酬になりがちだ。これがプロの将棋の奥深さ、奥ゆかしさであり、アマチュアには早々理解できない、そして付記された解説を読むことでじわじわと堪能できる世界でもある。
だが、「手を殺す」ことと、「相手の構想を根元から断つ」ことは断じて違う。