将棋界のブロゴスフィアってどんな構造になっているのだろう?
「ブロゴスフィア(ブログスフィア)」とは
ほとんど誰もこの用語を知らないと思うので、はじめに、「ブロゴスフィア」の定義について説明しておく。
英単語のスペル「Blogosphere」や発音から、日本語としては「ブロゴスフィア」と呼ばれるのが正しいはずなのだが、語感からか、「ブログスフィア」と呼ばれるのも一般的になっているようで、実際、グーグル検索では「ブロゴスフィア」検索結果:約153,000件に対し、「ブログスフィア」検索結果:約270,000件と、「ブログスフィア」の検索結果のほうが多い(2008/09/29時点)。また、「ブロゴスフィア」を含むタイトルの書籍が一冊もないのに対し、「ブログスフィア」を含むタイトルの書籍は1冊存在する。
ブロゴスフィア(Blogosphere、ブログ圏)とは、全てのウェブログ(ブログ)とそのつながりを包含する総称である。無数のブログが、相互にリンクした共同体として(または共同体の集合として)、あるいは社会的ネットワークとして共存しているという感覚をもとにこの語は造られた。(中略)
ブログが作る集合体ブログは個々人がインターネット上で意見や雑感を手軽に発信する手段を与えた。ブログはRSSによって更新状況を読者へ発信し、自分のページから他のページへリンクを張るだけでなくトラックバックによって他のページから自分のページへのリンクも張ることができる。ひとつのブログを読む読者は、リンクやトラックバックをたどって様々なブログの様々な意見やブログ同士の論戦を読むことができ、複数のブログが作る共同体や言論空間の存在を感じることになる。
あるブログやサイトの設置者が関心を持つサイトの更新状況を表示するアンテナや、複数の人々が興味深いニュースやブログエントリに対するブックマークを共有するソーシャルブックマークなどもブログ同士のつながりへ読者を誘導する。
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将棋界のブロゴスフィア
正直、一個人で将棋関連ブログをすべて追うことはできないし、また、将棋関連ブログが世の中にいくつ存在するかも私の能力では調べられない(「Technorati (テクノラティ)」とかを使って頑張って調査すればなんとかなるのかな)。ただ、まとまりだけは想像できて、
- 「将棋倶楽部24」内のサークルメンバーや、クラブ・部活メンバーなどの共同体
- 上記引用で述べられているような、「アンテナ」や「ソーシャルブックマーク」、または面白いサイトを紹介するタイプのブログが形成するまとまり。
が考えられる。後者は、個々に付き合いは無いのが基本だが、カテゴリーで結び付けられていたり、また、管理者の趣味趣向に自然と沿ったものになっているという点で結び付けられているといえる。
具体的には下記の通り。
1. サークル、クラブ・部活メンバーなどの共同体
個人的には2003年頃に「猫だまし戦法(初手▲7八飛戦法)」を引っさげ「非定跡党」に入党した。ただし始めの1年以降全然貢献していない(現在も快調に運営されていますね。すばらしい)。また、「初段を目指す会」の何名かのメンバーの方々が「フラ盤」を積極的に採用してくださっているようで(ありがとうございます)、勝手に愛着を持っている。その他星の数ほどのコミュニティがあるはずだ。
2. 「アンテナ」、「ソーシャルブックマーク」、サイト紹介系ブログ
- id:mozuyama様の「勝手に将棋アンテナ」が代表だろう。確かどこかの大手ポータルサイトで「将棋界の代表的アンテナ」としてとり上げられてもいた。
- 「ものぐさ将棋観戦ブログ」を運営なされているshogitygoo様の「shogitygooのRSSリーダー - 棋士、将棋中心ブログ等」も有名だろうか。この方は特に、将棋界のTwittersphere(Twitterスフィア)における影響力が絶大と感じる。
- 梅田望夫さん(id:umedamochio)の「はてなブックマーク - umedamochioのブックマーク」は、所々に将棋ブログのエントリーを含んでおり、将棋界ブロゴスフィアと外の世界を繋ぐ架け橋になっているといえよう。
- 遠山雄亮四段のブログ「遠山雄亮のファニースペース」では将棋ファンの心のこもったエントリーが。
- 「詰将棋メモ」様ではコンピュータ将棋や詰将棋に関連する優れたエントリーが。
- そして「将棋の海外伝播などについてのブログ」様では海外での興味深い将棋ニュースが、
それぞれ取り上げられている。それぞれ、同じ「将棋」でもさらに細分化した中で一貫したテーマを持ってページ紹介を行っている点に非常に好感を持てるし、安心して読めるので面白い。
なお私のこのブログでは、ときどき将棋以外のテクニカルな話題を取り上げているが、その際はこれら話題を少しでも将棋に絡めて面白おかしく紹介できるよう努めて書いている。
将棋界への影響力は?
最近、将棋対局のライブ中継の進化が急速に進んでいると感じる。これは、ライブ中継を行なうための情報インフラの整備の他に、将棋ブロガー達が活発に繰り広げる批評・評価や言論に、中継サイト運営者が影響を受けてモチベーションを上げている側面も作用しているのではないか、とポジティブに考えてみたい。
先日行なわれた「第49期王位戦」第7局は、その注目度(羽生善治四冠が七冠ロードを再度突き進むか、深浦康市王位が昨年に続き羽生先生を破って防衛するか)と中継サイトに注ぎ込まれた労力(対局室の音声付ライブ映像と控室ライブ映像)とが相まって、非常に多くのコメントが届いたそうだ。もちろんそのうちブロガーによるコメントはわずかだろう(自分のブログ上に感想を書くから)が、Web上で話題を盛り上げた効果は間違いなくあるはずだ。
余談だが、王位戦サイトに1つ苦言を呈すると、そもそも検索でサイト自体に訪れるのが非常に難儀であること!48期から49期サイトへ、また第1局〜第6局から第7局へ行きづらいなど、サイトのリンク構造がひどい。まとめのトップページが欲しい。新聞局同士の利権が影響しているのだろうか。
おまけ1・・・「勝手に将棋倶楽部」構想(妄想)
上述の「勝手に将棋アンテナ」に登録されている、何の関係もないメンバー達で構成された社団戦チーム「勝手に将棋倶楽部」を作って出場したら、さぞかし強いのだろうなぁ・・・という妄想を広げる今日この頃。もちろんプロ棋士の方々は登録メンバーから除くとして、それでも相当強い。私は2軍にも入らないだろう。