将棋の神様〜0と1の世界〜

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」&「チェスクロイド」作者がおくる、将棋コラム

第51期王位戦第2局:後手四間飛車穴熊VS8筋交換型

1勝1敗

既報の通り、王位戦第2局は深浦王位が勝利を収めた。


深浦康市王位(38)に広瀬章人六段(23)が挑戦している将棋の第51期王位戦7番勝負(北海道新聞社主催)の第2局は28日、札幌市豊平区のルネッサンスサッポロホテルで指し継がれ、午後7時12分、135手で先手番の深浦が勝ち、1勝1敗のタイとした。

棋譜と詳しい解説は、王位戦中継サイトでご覧いただきたい。

注目された振り飛車飛車穴熊対策

もはや当たり前のように「穴熊王子(振り穴王子)」と呼ばれるようになった広瀬六段。第1局に引き続き、後手番の本局でも四間飛車穴熊を採用した。
対する深浦王位の対策は、玉を固めるのではなく、8筋交換型。昔からある形で、私も何度も見たことがあるのだが、どのプロの公式戦で出てきたのか、あるいはどの古い棋書で見たのか、不思議と全く記憶が無い。月刊誌などでの単発講座を見て、友人同士で指していた程度だったかもしれない。
最近の棋書でいえは、「四間飛車道場 第9巻 持久戦vs穴熊」で取り上げられている。

四間飛車道場〈第9巻〉持久戦VS穴熊 (東大将棋ブックス)
四間飛車道場〈第9巻〉持久戦VS穴熊 (東大将棋ブックス)所司 和晴

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  • 第1章 持久戦VS穴熊の駒組み
  • 第2章 四枚美濃(先手7九角に後手6四歩、先手7九角に後手4五歩、先手7九角に後手2二飛)
  • 第3章 8筋交換型(8筋交換型対4三銀型、8筋交換型対後手6五歩早突き)
  • 第4章 ミレニアム(6七金型ミレニアム、金銀密集型ミレニアム)

現在私は三間飛車関連の棋書しかほぼ購入・所有していない*1ので、本書は読んだことがないのだが、「棋書解説評価委員会」様の書評によると、


第3章の8筋交換型は地下鉄飛車っぽい陣形ながら、8筋の歩を早めに交換して、その一歩を持ち歩に2筋から継ぎ歩攻めを狙っています。四間穴熊側がそれを受けた場合は地下鉄飛車から端を狙うというかなりしたたかな戦法(笑)
この戦法は所司七段の独自研究戦法なのか、やたらと先手(居飛車)よしの変化が出てきます。ただし、居飛車側の玉頭や桂頭が薄いので、カウンター狙いで五分に戦えると思います。

とのことで、充実した変化と解説が拝めそうだ。

左右反転させてみる


さて、8筋交換型は、自玉の囲いはほどほどに玉頭から積極的に手を作っていく戦法であり、対穴熊の感覚としては「藤井システム」に近いものがある。
実際に、終盤戦を左右反転させてみたのが第1図。まさしく藤井システムVS居飛車穴熊の中・終盤戦のようだ(振り飛車側がこのような玉形になる変化がある)。
なお第1図は、後手が駒得しており、玉もお互い堅そうでまだまだの局面に見えるが、後手の4三角・4四金の配置がひどい(金が浮いており、また3三の地点に受けが効いていない)ため先手有利とのこと。


また一方で、少し戻った局面を反転させてみたのが第2図。こちらはさながら居飛車穴熊VS石田流+金無双、といった様相だ。2筋の歩が切れている金無双、ということで(擬似)振り飛車側の玉が非常に薄いものの、(擬似)居飛車側の飛車先の歩が伸びておらず、6三の銀の位置は中途半端。普段ノーマル振り飛車はどれだけ損な形で戦っているんだ、と感じなくもないが、少なくとも本局面においてはバランスが取れているといえる。実際互角のようだ。


なお、後述の王座戦挑戦者決定戦の中継ブログの中でも、局面を反転して解説しているエントリーがあったので、紹介しておこう。

反転図面は、ありそうでありえない、感覚的におかしな局面なので、下手をすると酔いを起こしてしまいそうだ。が、これはこれで参考になるだろう。

今後がますます楽しみな王位戦、開幕前から盛り上がっている王座戦

これで王位戦の星は五分に戻った。ますますこの先が楽しみだ。
そして一方、本エントリーにも「藤井システム」として名前が挙がった藤井猛九段が、なんと10年振りにタイトル戦に登場することとなった。


第58期将棋王座戦(日本経済新聞社主催)の挑戦者決定戦が30日、東京・千駄ケ谷将棋会館で指され、午後10時22分、97手で先手の藤井猛九段(39)が深浦康市王位(38)を下し、挑戦権を獲得した。
同一タイトル連覇記録を更新中で、今期、19連覇を目指す羽生善治王座(39)との五番勝負第1局は、9月9日に東京都千代田区のグランドプリンスホテル赤坂で指される。

藤井九段は、勝利と芸術を切望する数多くの将棋ファンを持つことで知られ、昨日の勝利で応援会場(何処)は熱狂の渦に巻き込まれた模様だ。待ち構えるは、絶対王者・羽生名人。盛り上がりは必至だろう。早々に藤井玉に必至がかからないことを期待したい。

*1:学生時代はたくさん持っていたのだが、社会人になる際泣く泣く処分してしまった。