将棋の神様〜0と1の世界〜

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」&「チェスクロイド」作者がおくる、将棋コラム

Twitterにボナンザボット登場

GPS将棋につづき、ボナンザも

「ボナンザロボット」(人型ロボットが想起される)ではありません。「ボナンザボット」です。念のため。

2009/07/24に「TwitterにGPS将棋ボット登場」というエントリーを書かせていただいた。すると今度はボナンザ*1のボット*2も登場した模様だ。

しばらくは、開発者の保木邦仁氏がボット開発に関わっているのかわからなかったのだが、GPS将棋開発者・kaneko氏のブログ「shogi programming journal」の中の2009/09/16のエントリー「Bonanza_shogi 登場」にhoki氏とkaneko氏のコメントが載っているので、間違いないようだ(ちなみにこのコメントがとても面白い)。

投稿数が多いボナンザ

ざっとボナンザボットのポストを見てみただけで、読みのフォーマットもよくわかっていないのだが、ボナンザボットは一定時間局面が進まなければ同じ局面でも新たに読み筋をつぶやくようだ。記法がCSA棋譜形式(「CSA標準棋譜ファイル形式 (V2.2)」など参照)なので、直感的にわかりにくい(わかりにくいどころか普通の人にはわからないかも)という課題が現在はある。
もちろん棋力と評価の質については疑いようがなく、上記「Bonanza_shogi 登場」GPS将棋ボットとボナンザボットの評価値が比較され、傾向が似ているという分析結果が得られている。

進化するGPS将棋ボット

ところで、2ヶ月前に登場したGPS将棋ボット(「gpsshogi (gpsshogi) on Twitter」)は進化を続けている。kaneko氏はブログ上で


より多くの方にコンピュータ将棋を楽しんでいただくには、計算機の考え方と人間の考え方との接点を増やす方向の技術があると良さそうです。たとえば、囲いの評価、攻めの早さ、逆転の可能性など、人間の考え方に対応する部分はこんな感じと提示するとか。これは簡単なことではないので、今後の研究課題です。


観戦補助としては評価値と読み筋だけでは味気ないので、自然に出来る範囲で何か機能を考えたいところです。とりあえず簡単にできることとして「詰めろ」の時に報告するようにしてみました。

と述べていたが、こういった部分が実際に改善されている。例えば、本日行われた朝日杯将棋オープン戦、▲清水上徹アマVS△松本佳介六段戦の追従における、GPS将棋ボットの以下のようなつぶやきだ。


[(64) △7九飛] * 仮に質駒の金が後手の持駒であれば先手玉に詰がある.


[(67) ▲5三歩] * 後手玉は危険になってきたが詰めろではない.

前者、後者はそれぞれ第1図、第2図の局面におけるコメント。とても自然な文章だ。「後手玉は危険になってきた」というアバウトな表現も味がある。

欲をいうと、第1図でのコメントは、「5九の金を取った手が詰めろ」のようなコメントの方が自然か。「質駒」とは、


将棋で、いつでも取れる状態にある相手の駒。質。

という意味で、相手はほぼ不可避の状態を指す。たった今5九の金取りに飛車を打ち、かつ先手は確実にこの金取りを受けるので、この局面での5九の金は質駒とは呼ばない。しいて言えば、飛車打ちで9九の香が質駒になったばかり、といえる(好きなタイミングでこの香を取れる)。
また第2図は、人間の目から見ると詰めろではないのは明らか。むしろ、どう危険なのかの読み筋を披露してくれるほうがうれしい。後手が受けないと▲6三角と離して打って▲5二歩成がある、ということなど。読み筋では△5一香と未然に受ける手を披露してしまっているので、どう危険かがわからない。

考えてみると、「狙い」を解説するのは難しいのだろうか。「読み筋」では先後お互い最善手を披露するわけだが、一方で「狙い」というのは見方を変えれば「理想的な勝手読み」なわけで、「狙い」を抽出するのは難しいのかもしれない。
簡単な例では、棒銀で▲2六銀と上がる手に対して「2筋突破を狙っている」のようなコメントを付けることができるのか、ということ。実際の読み筋では、単純な2筋突破は果たせず3・4筋の攻めも絡めた湾曲的な読み筋となるはずなので。

今後の動向に注目

今後の動きとして、ボナンザボットの解説がわかりやすくなっていくのか、新たなボットが登場するのか。別にTwitter上に限った話ではなく、「将棋界も、「マドンナのビジネスモデル」の採用を進めたほうがよいかも」で述べた通り、公式サイトでの中継にボット解説をプラスする方向性もありうる。
楽しみに見守りたい。

2009/09/26追記

昨日行われた第57期王座戦第3局、▲山崎隆之七段VS△羽生善治王座戦で、GPS将棋ボットが早速「次の狙いの予想」というつぶやきを披露していた。下記が一例。すごい。

[(43) ▲6五桂] * 次の狙いの予想は▲8一飛成△2九飛▲9一龍(3 → 532).

gpsshogi on Twitter: "[(43) ▲6五桂] * 次の狙いの予想は▲8一飛成△2九飛▲9一龍(3 → 532)."

相手が一手パスして自分の手盤になったと仮定したときの読み筋なのだろうか。日本語はもっとくだけて「次の狙いはたぶん〜」でいいかも(笑)。

*1:2005年に颯爽と現れた、超強力コンピュータ将棋プログラム。公式サイト「Bonanza - The Computer Shogi Program」「Bonanza - Wikipedia」などを参照。

*2:「ボット」・・・インターネット上で自動化されたタスクを実行するアプリケーションソフトウェア。一般に単純な繰り返しのタスクをこなし、そのようなタスクに関しては人間が手でやるよりも高速。人間の活動をエミュレーションするのに使われたりする(会話ボットなど)。コンピュータウィルスとしての「ボット」とは別物。詳しくは「インターネットボット - Wikipedia」などを参照。