将棋の神様〜0と1の世界〜

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」&「チェスクロイド」作者がおくる、将棋コラム

奨励会:三間飛車党・永瀬拓矢三段、四段へ昇段

最終日を前に昇段者確定

既報の通り、最終日の18回戦・19回戦2局を行う前に、2名の昇級者が決定した。三段リーグを勝ち抜くには、実力もさることながら精神面や運の影響も大きいといわれているが、今期は結果的に見ればこの2人が抜けていた。


将棋のプロ棋士を養成する第45回「奨励会三段リーグ」が20日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、阿部健治郎三段(20)が12勝4敗、永瀬拓矢三段(16)が13勝4敗とし、最終日(9月12日)を待たずに、ともにプロとなる四段への昇段を決めた。四段昇段は10月1日付。  阿部は山形県酒田市出身、西村一義九段門下で、得意戦法は居飛車。永瀬は横浜市出身、安恵照剛八段門下で、得意戦法は三間飛車

今回奨励会昇段者を取り上げたのは、もちろん「三間飛車党」永瀬拓矢三段に注目しているためだ。
なお「四段昇段は10月1日付」とのことなので、本文では「三段」と表記することにする。

真の「デジタル将棋ネイティブ」

上記記事からもわかる通り、永瀬三段の得意戦法は三間飛車「三間飛車のひとくちメモ」を運営している私は、少し前から永瀬三段の奨励会での活躍ぶりに注目していた。
まだ16歳。前期三段リーグを勝ち抜きプロ棋士になった17歳の澤田真吾四段を下回る、現役最年少棋士となる。
永瀬三段らの世代にとって、小学生になる頃にはインターネットが当たり前の存在となっており、またそれは将棋倶楽部24がちょうどスタートする頃でもある。指そうと思えばいつでも指せる、そんな環境が当たり前になった世代。
昨年11月に、「http://www.nhk.or.jp/digitalnative/」をもじって『デジタル「将棋」ネイティブ度チェック』という半分ジョークのエントリーを書いたわけだが、これからは本当の意味での「デジタル将棋ネイティブ」が、ついに台頭するようになってくるのだ。

デジタルネイティブ」な面は、将棋に限った話ではない。ブログなどの個人発信ネットメディアも、本人が望めば手に取るように使いこなす。永瀬三段も例外ではない。ここにURLを載せるのは控えておくが、適当に検索すれば彼のブログを閲覧することができるはずだ。
ブログの中で、永瀬三段は上述の将棋倶楽部24において対局を行っていることを公言しており、またそのハンドルネームも半ば周知のものとなっている(私も以前「VS居飛穴&持久戦のひとくちメモ -PAGE8- MEMO31 最強三間党VS最高R保持者」の中で、彼の将棋を取り上げている)。今のところ、プロになったあともそのハンドルネームで指し続けるとのこと。このWeb空間への抵抗感の無さ、そしてあっけらかんとした姿勢は、まさに「デジタルネイティブ」と表現できるだろう。こういう時代なのだ。

真の「安定感のある三間飛車

ところで、先月頭に私は「独特の安定感がある三間飛車」というエントリーを書いた。これも半分ジョークみたいなエントリーだったが、実はこのタイトルには伏線が隠されていたことに気付いた方はおるまい。
そう、その「名前」(HN)に掛けて、彼への期待を込めてもいたのだ。

「Stably Third File Rook」。


stable (≒stably)
―【形】安定した; しっかりした,腰のすわった

プロ棋士になったら披露するか、と思っていたが、まさかこんなにすぐにその時が訪れるとは思わなかった。ちなみに、彼のハンドルネームの由来を私は知る由も無い(苦笑)。

先日放送された「蔵出し劇場 あの人からのメッセージ▽勝負師2人 命がけの一手〜大山康晴と升田幸三」の中で、大山康晴十五世名人は、

「天才」は勝ち負けに波がある。天才と呼ばれているうちはまだまだ。安定して7割勝ち続けてこそ本物。

というようなことを言っていた(録画していなかったので台詞は正確ではない)。
永瀬三段には、是非とも「三間飛車を駆使して」安定して勝ち続け、トッププロになってほしい。