「ハイビジョンサウンド会議」に参加してきた
2008/10/14のエントリー「「ハイビジョンサウンド会議」に参加するので予習してみた」の通り、予習して臨んだわけだったが・・・
私が想像していた主旨と違っていた。内容の良し悪しじゃなくて、主旨の問題。私が構えすぎた(苦笑)。
想定していた内容
私が想像していたのは、下記のような感じ。技術セミナーみたいなものを想定していた。
- 「パイオニア AV基礎知識:基礎講座[ホームシアター編]」のような簡単なホームシアターの説明から入る。
- 「ハイビジョン時代の音響」の説明として、ドルビーデジタルやDTSの説明。(参考:「ドルビーデジタル - Wikipedia」、「デジタル・シアター・システムズ(DTS) - Wikipedia」)
- 「次世代の入出力端子」の説明としてHDMI、そして昔からある同軸ケーブル、光デジタルなどの話。
- ホームページには載せられない、「Q」オーディオシステムの詳しいスペックや、適当な室内環境における使用時の実測データ。
- 実測データの他社比較(他社より優れていますよ、と)。
- デモ。
実際の内容
実際には、抽象的な内容だったといえる。
- NIROさんの会社概要説明
- テーマ1:「ハイビジョン時代への危惧」・・・テレビが薄型化してスピーカーが弱体化した、といった主に筐体面の説明。(符号化方式が云々などの込み入った話は無かった。)
- テーマ2:「より良い音を求めての試行錯誤」・・・「Q」のコンセプト(上下のサラウンド感、どこにいても聞こえる、狭い部屋でもOK)説明。たまたまスピーカーをテレビの上に置き、その優れた音響効果を発見、などのエピソード紹介。(筆者注:ノーベル賞クラスの発明でも、元を辿ると隘路から光明を見出した、というエピソードはよく聞く。「偶有性」は重要。そしてそれを引き出す幾多の挑戦はもっと重要。)
- テーマ3:顧客と向き合うということ・・・BBS活用による顧客とのコミュニケーション。不良率が4%から最近ではほぼ0%に減ったとのこと。
- デモ
- 質疑応答・・・ほんわかした質問もある中、鋭い質問も多数。後日回答とのことで、楽しみにしたい。
熱い思い
説明の中での
- 「音を忘れたハイビジョンテレビ」(薄型テレビになり、スピーカーのスペースが無くなってしまった)
- 「より良い音を求めての試行錯誤」
- 「360°の音響」
- 「感情の70%は音で決まる。もっと突っ込んで言えば、フロントスピーカーとサブウーハー(聞き間違いかも)で決まる」
- 「もっと広めたい、という思い」
などなどの語録から、中道さんの熱い思いが伝わってきた。
唯一(と言っていいと思う)、「HRTF」(参考:「頭部伝達関数(HRTF)とは - NE用語 - Tech-On!」、「頭部伝達関数 (HRTF) (調査と解説)」)という専門用語が出てきたが、具体的な説明やデータは無かった。聞いても私もわからないと思うけど、一応してほしかった。残念。私はアカデミックだったり技術的だったりする話に特に惹かれるので・・・。
デモ内容
ブルーレイ(多分)のHD映画コンテンツを利用して、薄型テレビスピーカーと、従来の1ボックスサラウンドシステムと、「Q」の比較が行なわれた。
「Q」は、音量が大きいときに若干音が割れているような気がしたが、総じてとても良いのではないかと思う。例えば「パール・ハーバー」で、飛行機が上空を飛び越していく感じなどがよく現れていたと思う。テレビのスピーカーとの違いは歴然。うまく説明できないけれども、従来製品よりも勝っていると思う。私のような素人には、具体的に良さを表現できないので、この辺りは他の専門的なブロガーさんの感想をご覧あれ。
デザイン
スピーカーラックは、フロントスピーカーの丸みのある出っ張りは気になったものの、色が高品位で、なかなかのデザインなのではないだろうか。テレビ上のリアスピーカー設置の見栄えは、慣れ次第かな?(NIROホームページ「ハイビジョンTV5.1chスピーカー Q: NIRO」参照。)
「ビックカメラ」の要望で、黒だけでなく白も用意したとのこと。
こうすればより良いプレゼンだったのではないか、という提案
- 他社より優れている点は?
- 他社に負けている点、同等の点は?(あるならなぜ?)
- 定量的に説明せよ
というのはどの会社でもよく上層部から問われる点だと思うのだけれど、これをグラフなどでパッとスライド表示してもらえるとうれしかった。
「実測データの他社比較なんて、データを見てもわからないし必要無い」、とお思いかもしれないが、「他社より優れている」というデータを見せ付けられることによる「アンカリング効果」(「アンカリング - Wikipedia」など参照)で、実際音を聴いてみたときにより優れて感じられたりするものだ。第一、プロじゃないとわずかな音の違いなんて聴き取れないだろうし、その意味で、何か「より良く感じさせる」工夫をする必要はあったのではないかと思う。なお私はスペックバカ、データバカなので、単純にデータを見られることもうれしい。
あと、デモではスピーカー切換をもっとスムーズに、効果的に行なってほしかった。
2008/10/21追記
私が提案したかったことのうちの1つを端的に表現しているのがこちら↓。
実際は非常にわかりやすくてコミカルなイラスト付き。すばらしい。ご参照あれ。
今出ている音は「Q:」のものなのか他社製品のものなのか、はっきり分かるようにしてほしい
私はオーディオを聴き分ける力を持っていないので、他社製品から音が出ているときに「ほぉー・・・やっぱりいいですねぇ」とか適当なことを言って恥をかくのが怖かったです。再生中テレビ画面に表示させる・・・のは難しいかもしれませんが、スケッチブック等で案内があると、安心して相づちが打てそうです。
(追記ここまで)
買う?
実はわけあって、近々5.1chサラウンドシステムをタダで入手できることになってしまった。そのため今回はそちらで我慢し見送ることとする。
「サラウンドシステム」はなかなか良い買い物だということがわかった。いずれ余裕ができたら、欲を出して十数万のハイエンドモデルにでも手を出すかもしれない。
終わりに
ブロガー発(って定義があいまいだけど)のイベントに参加したのは今回がわずか2回目。田口元さんのイベントに参加したのは初。とてもスマートな方だった。また、会場がとても立派で驚いた。
今回、明らかにイベント参加に際して準備しすぎた(笑)。まあイベント種類による「さじ加減」にもいずれ慣れるだろう(前回「第12回テレビとネットの近未来カンファレンス 〜 これからはじまる本当の”テレビ進化論” 〜」に参加したときは、全力で予習して正解だった)。また興味あるテーマがあったら参加したい。
田口元さん、中道さん、ありがとうございました。