将棋の神様〜0と1の世界〜

「三間飛車のひとくちメモ」管理人、兼「フラ盤」&「チェスクロイド」作者がおくる、将棋コラム

続・王位戦第2局 羽生善治名人の2手目△3二飛戦法

昨日のエントリーの続き。王位戦第2局2日目、羽生四冠ファンおよび三間飛車党には残念な、先手深浦康市王位勝ちという結果となった(深浦先生ファンの方々、おめでとうございます)。


羽生の2手目3二飛に、深浦が乱戦を挑んだ本局。2日目は、桂得した深浦が封じ手の4四歩(39手目)から攻め、羽生が受ける展開となった。
深浦は駒得を生かし、6五角(43手目)から攻撃態勢を整えたが、羽生は1四角(54手目)から反撃。逆に5四歩(60手目)から5五歩と拠点の桂を取って優勢に。
しかし、深浦は羽生の2七角(76手目)をからめた二枚角の攻めに、3六金(79手目)と頑強に抵抗。羽生が寄せにもたつく間に、5三銀成(101手目)から4四角で再逆転。

棋譜および解説は、上記サイトや「王位戦と明日の中継。 - 渡辺明ブログ」などを参照下さい。


素人目にはわかりにくいが、上記の通り43手目▲6五角(第1図)付近は先手良しで、60手目△5四歩(第2図)の局面は後手良し、とのこと。確かに、1四の角のにらみを受けながら△6七桂打の筋を見せつけられては先手たまらない。

数手進んで▲4七香(第3図)が攻防で味良く見えるが、以下4三に駒を打ち込んで攻めにいくと、△4一玉とかわされ、いずれ後手の4筋の歩を取りつつ香を進める羽目になるので、やはり△6七桂打や△4七歩打が生じてしまう。したがって4筋からの単純攻めはできないのだろう。

というわけで、角をいじめにいく湾曲的な指し回しとなるわけだが、これがうまかったようだ。形勢を離されずについていき、最後は▲7一角から▲5四銀!(第3図。▲6五の銀を5四へ進出。羽生先生はこの手をうっかり?)という一手ばったりのような寄せを決めて深浦先生の勝利となった。
戻って、2七の角を取られる前に、どこかのタイミングで△4九飛と打つ攻めはなかったのだろうか。

最終局面(第4図)から△7五銀は、▲9五玉から打ち歩詰めで見事に詰まない。△8五歩▲同玉△9七角成?!の「詰めろ逃れの詰めろ」で勝てたら、羽生先生は本当に神としか呼びようがないが、残念ながら▲9七同香で「詰めろ」も「詰めろ逃れ」も霧散となる。

ちなみに、オンボロPC上で「激指3」先生に棋譜解析させたところ、最終盤まで形勢が拮抗している結果となった(下図)。さすが、トッププロの将棋は美しく見事だ。

2008/09追記

将棋世界2008年10月号によると、羽生先生は△6七桂▲6八玉のあとに△4九飛とする読みで手を進めていたのだが、▲4九同飛△同角成▲9二飛が厳しいことに気付き、予定変更で△7九桂成とした、とのこと。
また、最終盤の△8七歩成のところ、この歩成りを決めずに受けに回っておけば、本譜と同様に進めたときに先手玉が詰んでいた。すなわち歩成りを決めなければ羽生先生良しの局面だった、ということだ。紙一重でバランスのとれた、なんとも美しい終盤戦だった。